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ニュージーランドでの日々を書いています。

出不精がワーホリ先で次なるホームを探す話

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ニュージーランドに来た初日から学校を卒業する日まで、私はワーホリ斡旋会社が手配してくれたホームステイ先に滞在していた。

ホームステイ先は退去予定日の2週間前までなら滞在延長が可能だったのだが、私の場合は一ヶ月ほどでホームステイ先を出る予定だったので、逆算すると到着して2週間以内には次の家を決めるか、今のホームステイ先を延長するのか決めなければならなかった。
自分が学校費用をケチった結果こうなったので自業自得だが、なかなかお忙しいスケジュールである。
家も見つからずホームステイも延長できず、一ヶ月後に公園で雨風を凌ぐ自分の姿が割とはっきり脳裏に浮かんで、再びひっくり返って痙攣しながら泡を吐きつつ、私は次の家探しを始めた。
(今ならバックパッカーに泊まれよと思うが、当時はそれすら知らなかった。家 or 野宿のちDeath だと思っていた。無知は死に繋がる)
 

NZに来て2週間後の週末、日本人専用の掲示板で探したフラットに見学に行った。
2週間目にしてだいぶグッタリしていた私はせめて日々に癒しが欲しいと、「シティの近く、猫」と検索窓に入れて新居の候補を数件見つけていた。
そして結論から言うと、この検索の仕方は大正解であった。

最初の一軒めを見学に行った際、日本人のオーナーさんから「最近子猫が生まれたんです、5匹」と言われた。
最初の一軒めだったがその瞬間、すでに契約書へサインすることを決めた。

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「子猫との暮らし」を頭の中で描いたならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!
と私の中のプロシュート兄貴(きっと猫派)が吠えた。
 
猫。しかも子猫。
英語ができなくても仕事が辛くても、もうなんだっていい。
帰ってきて猫を触れるなら。
 
私に必要なのはこの家だ、と言葉ではなく心で理解できた。そして私の住処は結果的に、本当に2週間で決まった。ありがとうプロシュート兄貴
ひっくり返って痙攣しながら野宿を思い描いた前日から一変、フラット見学からスキップで帰る私の脳内は来たる子猫たちとの甘い日々に向けて浮かれまくっていた。


学校を卒業した翌日、新しいフラットへの引っ越し日。
ご婦人達に別れを告げ、重いキャリーバッグにつんのめりつつ、バスと電車を乗り継いで新居へ向かった。

電車に乗ってから降りるまでモタモタしつづけている私を見かねてか、電車でたまたま隣に座っていたアジア系の男性がなんと一緒の駅で降りてキャリー運びを手伝ってくれた。
NZで出会う人たち、モタモタしてる人間に優しすぎないか。私のための国かよ。(甘えるな)


しかしありがたいとはいえここは海外、知らない人にいきなり新居を特定されるわけにはいかないので、駅から少し歩いたところで「もう大丈夫!」と告げたのだが、
「ありがとう!」と最後歩道を渡った直後、
「最後に一つ聞いていい?What's your name?
と彼が叫び、私たちの間を新しい風が吹き抜けた。(厳密には車が1台普通に通った)

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いや新海誠監督作品か。今から何か始まるやつかこれ。

流石に一瞬で恋に落ちたりはしなかったが、せめて去り際くらいヒロインみを出そうかと下の名前だけ告げてドラマチックに去ろうとした瞬間、道路の段差にキャリーを取られ昭和のギャグ漫画フェイスでつんのめった。
私のポテンシャルでは新海誠監督作品のモブさえ務まらない。調子乗ってほんとすいませんでした。

気落ちしたのも数分、新居に到着してダイニングに降りた瞬間に奥の部屋から興味深げにこちらを見つめてくるふわふわの生き物たちを発見し、自身の作画のことなど全てどうでもよくなってしまった。
猫の前では全ての問題は無意味。
そして私のもふもふ満喫NZライフがスタートしたのであった。